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平成22年度税制改正大綱

  • Posted by: 小湊 格
  • 2010年2月16日 10:02

 昨年末12月22日に、民主党政権としては初の税制大綱となる「平成22年度税制改正大綱」が閣議決定されました。22年度政府予算は、税収では前年度より9兆円減収の37兆円、国債発行では前年度より7兆円増加の44兆円、一度しか使えないであろう埋蔵金も10兆円まで手当てしての厳しい予算となっています。この政府予算の状況の中で、マニフェストの選挙公約を不備ながらも実行すべく、苦肉の末の22年度税制改正大綱といえましょう。

 しかし、「平成22年度税制改正大綱」には、①納税者の立場に立ち、納税環境整備としての「納税者権利憲章の制定」をすること。②現行法では1年間しか認められていないことで、納税者には著しく不利であるといわれている税金の還付請求期間「更正の請求期間」を見直すこと。③国税庁の支配下にある「国税不服審判所」を納税者により公平な組織につくり変えること、が掲げられていることは大いに評価すべきことです。新しい税制度へ取り組み民主党の姿勢をこれらに感じることができます。

主な大綱に掲げられた税制改正点は、次の通りです。

■同族支配会社のオーナー会社課税制度の廃止                                 "法は法なり、悪法もまた法なり"法は遵守すべきものですが、オーナー会社課税制度は中小企業に必要以上の負担を強いる制度でした。財務省と前政権下での"財政のつじつま合わせ"により創設された制度です。留保金課税の改正には、40年以上の期間を要しましたが、政権交代により、この制度は短期間で廃止されることtなりました。

■住宅促進策としての贈与税の非課税制度                                   平成22年度改正では、住宅資金の非課税贈与枠500万円を1500万円に増額、受託促進を刺激しようとする政策です。しかし、既に「500万円」非課税枠があることに加え、「相続時精算課税制度の2500万円非課税制度」もあります。経済の刺激策としてアピールされていますが、財務省一流の聞こえの良い、耳障りの良い制度であるといえましょう。

■国税不服審判所の改革                                              申告納税制度を担保する重要な機関として「国税不服審判所」があります。この審判所の審判官を課税庁の出身者が担っているのが現況です。審判官の判断基準は課税庁サイドに偏りやすいと指摘されています。大綱では、納税者の立場に立った制度全体の見直しを掲げています。課税の公平という観点では大きな一歩でしょう。

■租税特別措置法の見直し(廃止)のスタート                                  レーガン改革は、タックスシェルター(米国の租税特別措置法)を全廃しています。日本では、業界団体の陳情により創設された租税特別措置法を廃止すべきは廃止することでシンプルな税制度に作り替えるべきと考えます。成果が期待されます。

■所得税「配偶者控除」の廃止を                                         政権の掲げる「控除から手当へ」の方針に沿って、高校授業料の無償化や子供手当支給の代替として、所得税の増税となる「扶養控除制度」が改正されます。しかし、改正が求められた「配偶者控除の改正、廃止」は先延ばしとなりました。国民年金の3号被保険者制度とともに、女性の社会進出を阻害しているといわれる「配偶者控除制度」は廃止すべきと考えます。税の観点ではなく、意識の改革に役立つ改正となるはずです。

改正点は、この他に、自動車関連税制、農地法改正に伴う相続税制の改正、配当金と株式譲渡損を通算する金融証券税制の改正、たばこ増税などの特筆すべき改正点の説明と解説は、当税理士法人で開催予定の「税制改正セミナー」にご参加のうえでご確認下さい。"中長期視点での民主党税制改正の行方"も合わせて解説いたします。

                                                                     

 

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