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特例有限会社

  • Posted by: 佐藤 剛
  • 2009年7月10日 18:18

前回、会社法のポイントとして「株式会社に一本化されました」という点を挙げました。では、それまで「有限会社」だったものはどうなっているのでしょうか。

会社法施行以前に「有限会社」であった会社は「特例有限会社」という立場を与えられました。あくまで「株式会社」ではあるのですが、その一形態として特例的に従来の有限会社とほぼ同様のまま存続を認められている、というわけです。

ただし「株式会社」ですから、旧有限会社での「社員」が「株主」に、社員の「出資一口」が「一株」とみなされます。したがって「社員総会」ではなく「株主総会」が開催されることになります。

また、決算公告の方法として「官報によって公告する」とされ、さらに前回の会社法のポイントとして挙げた「譲渡制限会社」であるともみなされます。

□登記簿謄本の確認を
特例有限会社(旧有限会社)では役員の任期がありません。定期的な役員改選登記が必要となる株式会社と比べると、会社設立後に定款や登記簿謄本を確認する機会が少ないというのが実情ではないでしょうか。

登記簿は、法務局の登記官によって前述の「みなし規定」に従い職権でいくつかの項目が追加・変更されています。一度謄本を取得して確認しておくことをお薦めします。

□定款の再作成
「みなし規定」によって文言を読み替えているとはいえ、会社法では「みなし規定による追加・変更・抹消事項を記載した書面」を作成し、株主や債権者から定款の閲覧・謄写等の請求があったときは開示する必要があると規定されています(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第6条)。

実際は定款をみなし規定にあわせて作成し直し、株主総会で形式的な定款変更決議を行うほうが、すっきりとしてなお良いと思われます。特に古い会社ですと定款が痛んでいたり、役員の入替があったりして現状にそぐわない場合も多く見受けられます。これを期に定款を見直してみてはいかがでしょう。

□株式会社への移行
会社法の施行により「貸借対照表の純資産の部が1,000万円を超えていなければならない」「取締役が3名以上必要」といった制限がなくなり、特例有限会社から株式会社への組織変更がしやすくなりました。

役員の任期や決算公告の義務がないなど、「旧有限会社で認められていたメリット」は特例有限会社でも引き続き認められており、また社名変更に伴う費用も当然発生します。

一方、「株式会社」となることのメリットとして「対外的な信用の向上」「取締役会や会計参与などの柔軟な機関設計」などが挙げられるでしょう。双方を勘案して組織変更するか否かを検討されたらよいと思われます。

株式会社に組織変更するためには株主総会(特例有限会社でも「株主総会」となります)の特別決議が必要です。「株式会社」の名称を含んだ新しい商号への変更・新しい定款の承認・役員の選任等を決議します。

その後、手続としては「特例有限会社の解散登記」「株式会社の設立登記」を同時に申請することになります。組織変更を決議した株主総会議事録・新しい定款・また新しい会社の実印を押印した改印届などを添付します。

登記が完了したら、税務署・社会保険事務所・金融機関などに届け出ます。また取引先への挨拶、封筒や名刺の作成なども必要になるでしょう。

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